第8節 ITとの融合、新エネルギーへの挑戦

第1項 プリウスの開発とハイブリッド戦略

ハイブリッド車の車種展開

2000(平成12)年には初代プリウスのマイナーチェンジを実施し、動力・燃費性能を向上させたうえで、北米・欧州市場にも投入した。ついで、2003年9月には全面改良による「THSⅡ」(トヨタ・ハイブリッド・システムⅡ)を採用した2代目プリウスを発売した。主な改良点は、電圧昇圧回路でモーター出力を大幅に引き上げるなど、THSⅡとして動力性能と環境性能の一段の向上を図ったことであった。

また、プリウスにつぐモデルの展開も加速させ、2001年にはミニバンのエスティマ・ハイブリッド、シンプルな機構によるクラウンマイルドハイブリッドを発売した。続いて、2003年にディーゼルエンジン搭載トラックのダイナとトヨエースに設定、2005年にはSUVのハリアー・ハイブリッド(海外ではレクサスRX400h)を発売し、車型のバリエーションも多様化させた。さらに、レクサスでは、セダンへの展開も進め、2006年のGS450hを皮切りに、2007年のLS600hシリーズ、2009年のHS250hへと車種を増やした。

世界の主要拠点での現地生産にも着手した。最初のハイブリッド車(HV)の海外生産は2005年の中国であり、四川一汽トヨタ長春豊越(SFTM長春)でプリウスのノックダウン生産に着手した。翌2006年にはトヨタ・モーター・マニュファクチャリング・ケンタッキー(TMMK)で海外専用モデルのカムリ・ハイブリッドを立ち上げた。カムリ・ハイブリッドについては、2009年からタイとオーストラリア、2010年には中国でも生産を始めている。また、同年にはトヨタ・モーター・マニュファクチャリング・UK(TMUK)で欧州初となるオーリス・ハイブリッドの生産を開始した。

HVの普及計画については、渡辺捷昭社長が2006年と2008年の「トヨタ環境フォーラム」で提示し、2006年時点では「2010年代の早期に年産100万台へと拡大する方針」、2008年には「2020年をめどに乗用車全モデルへのHVの設定を完了する方針」をそれぞれ公表した。一方、HVシリーズの販売実績を見ると、初代プリウスの投入からほぼ10年が経過した2007年5月に累計世界販売100万台に到達した。HVの市場への浸透は、車種展開の広がりとともにスピードを増し、その後わずか2年4カ月(2009年9月)で同200万台、2011年2月には同300万台を記録した。

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