第8節 ITとの融合、新エネルギーへの挑戦

第3項 ITSへの取り組み

さらなる安全性の追求

トヨタは、ITや高度道路交通システム(ITS)技術の進展を安全な車両開発に生かすことを目的に、2006(平成18)年8月に「統合安全コンセプト」を発表した。その趣旨は、状況に応じた最適な運転支援により、いつの日か、究極の願いである「事故を起こさないクルマ」を実現することである。車両に搭載された個々の安全技術・システムを連携して、すべての運転ステージでの安全性を追求し、将来は道路インフラとの協調(路車間)、および他の車両から得た情報の活用(車車間)を図り、状況に応じた最適の運転支援によって、「事故を起こさないクルマ」を目指すものである。

こうした連携や協調によって安全への相乗効果を高め、パーキング→予防安全→プリクラッシュセーフティ→衝突安全→救助といったすべての運転ステージにおいていっそうの安全性を追求することを、今後の安全技術・車両開発の基本とする方針を明確にした。

この統合安全コンセプトに基づき、2006年9月発売のレクサス「LS460」では、後方からの追突にも対処する進化型のプリクラッシュセーフティや、停止状態から時速100kmの高速まで全車速域での追従機能をもつクルーズコントロールなど、多彩な運転支援技術を採用した。

2006年12月から2007年5月にかけては、ITS技術を活用した「インフラ協調による安全運転システム」の公道実験を豊田市内で行った。警察庁が推進する実証実験であり、トヨタはドライブレコーダーを装備した車両100台で参画した。

さらに、2008年12月から2009年3月に関係省庁や国内外自動車メーカー、電機メーカーなどの連携で、東京・お台場周辺で行われた「ITS-Safety2010合同実証実験」および「公開デモンストレーション」にも参加した。これらを通じ、トヨタの統合安全コンセプトに基づく開発を促進するため、路車間や車車間の連携に関する運転データなどを収集した。

一連の取り組みをもとに、高速道路上での運転支援情報を受信する「DSRCユニット(ITSスポット対応)」を2009年10月に発売したレクサスLSシリーズにオプション設定した。また、2011年8月発売のアルファードとヴェルファイアには、信号・標識などの交通管制情報を受信して、安全運転を支援する「DSSS」対応ナビを設定するなど、インフラ協調システム対応機能の搭載拡充を進めている。

また、ITSなどの技術進化を受けた交通安全への取り組みについては、2005年3月に「人・クルマ・交通環境」を一体とした全社的な推進体制を整備し、究極の願いである「交通事故死傷者ゼロ」を目指した活動を進めている。

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