第8節 ITとの融合、新エネルギーへの挑戦

第4項 福祉面への対応

介護・福祉用車両の開発

介護・福祉用の車両については1960年代から専門メーカーに委託して運転補助装置やリフトなどの改造に取り組んできた。こうした車両のお客様は、介護施設などの法人が主体であり、タウンエースバンなどに車椅子用リフトなどを取り付けた「ハンディキャブ車両」の設定で対応していた。

その後、高齢化が進むとともに個人のお客様のニーズが高まってきたため、助手席リフトやサイドリフトなど介護支援も目的とした車両の設定を拡大し、1996(平成8)年にはキャブワゴンとミニバンの全車種への設定を完了した。同時に介護者は女性が多くを占める傾向にあることから、女性が運転しやすいコンパクトカーなどを含む全車種への展開を開始した。

1997年には介護保険法が成立し、これをきっかけに、福祉車両の需要が高まりを見せた。トヨタでは同年に、車椅子生活をおくる祖父をアウトドアに誘い出す家族を描いたテレビCMを制作し、「人に優しいクルマをつくる」という企業メッセージを発信した。

1998年、福祉車両の名称を「トヨタウェルキャブシリーズ」に変更し、さらなる認知度の向上を図った。ウェルキャブに対しては、実車を確認して検討したいというお客様の声が強かったため、同年7月に東京都杉並区に常時10台程度を備える総合展示場「トヨタハートフルプラザ」を開設した。同展示場はその後全国に展開され、ウェルキャブの販売促進に貢献している。

トヨタの福祉車両の販売台数は、1996年には2,700台ほどであったが、2000年になると1万3,790台にまで拡大した。

また、トヨタレンタリース店は1996年に80台のウェルキャブレンタカーを導入していたが、2006年には保有台数をレンタカー業界で群を抜く800台に増車し、テレビCMでも積極的な訴求を行った。

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