第8節 ITとの融合、新エネルギーへの挑戦

第4項 福祉面への対応

パートナーロボットの実現に向けて

福祉の分野では、人と協調しうる「パートナーロボット」の開発という新たな試みにも挑戦している。

トヨタグループ共通の夢として、2000(平成12)年に着手したもので、1970年代から製造現場への導入を推進してきた産業用ロボットの技術に、自動車技術、電子技術、知能化技術を結集し、社会のニーズに応えていこうというプロジェクトである。2025年までの方向性として、①家庭内のアシスタント、②福祉・介護、③工場などでの製造、④パーソナル・モビリティの4分野を掲げ、人の役に立てるロボットの実現に取り組んでいる。

この4分野で必要な機能を満たすには、人と協調する技術、移動技術、全身運動能力の高度化、道具を使う能力が重要と定め、それぞれの開発を進めている。2005年の「愛・地球博」は、パートナーロボットを披露する格好の場となり、トランペットをはじめ人にとっても難しい楽器を使いこなす演奏ロボットを実現した。同博覧会のトヨタグループ館のウェルカムショーでは、8台のロボットバンドによる演奏や、搭乗歩行型の「i-foot」や「i-unit」によるダンスパフォーマンスなどが披露され、目玉イベントとなった。

2010年に開催された中国の上海万博では、日本館でバイオリン演奏ロボットを紹介した。ロボットは人が親しみやすい二足歩行の形態で、両手・両腕を協調させ、ビブラートもかかった繊細な演奏を披露した。

開発を進める4分野のうちの「パーソナル・モビリティ」については、2008年8月に立ち乗り型のパーソナル移動支援ロボット「ウィングレット(Winglet)」を発表した。いずれも2輪走行による3タイプが開発され、同年には中部国際空港、2010年には豊田市内と、各地で実証実験に取り組んでいる。

また、2011年11月には4分野のうち「福祉・介護」について、①自立歩行アシスト、②歩行練習アシスト、③バランス練習アシスト、④移乗ケアアシストの4種類のパートナーロボットを公表し、2013年以降の実用化計画を発表した。これらのロボット開発は、藤田保健衛生大学と共同で進めており、専門医療機関でのニーズを設計にフィードバックしている。実用化に向け、幅広い介護・医療機関の協力を得ながら実証実験などを通じた開発を加速させている。

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