第9節 量産量販に向けての準備

第7項 トヨタ・テクニカルセンターの設置

テストコースの完成

テクニカルセンターの建設後、1955(昭和30)年11月に試作工場(240坪、792m2)が竣工したのに続き、1956年9月にはテストコースが完成した。テストコースは、技術本館東側の敷地約10万坪(33万m2)を利用して開設され、時速100kmで走行できる1周約2kmの周回路と、全長200mの波状悪路を備えた。翌1957年には旋回走行試験用のスキッドパッド、振動騒音試験用の石畳路(ベルジャン路)、ぐり石路を設け、さらに1959年には特殊波状路、捩り路、急坂路を追加し、より広範な車両性能試験が行えるようになった。

1966年11月には静岡県駿東郡裾野町の広大な敷地内に、自動車性能試験場(のちに東富士研究所)を建設した。1周3.7kmの高速周回路と、1.3kmの水平直線路を備え、高速耐久性や高速時の操縦性、制動性、振動、騒音などの試験を行った。

その後、北海道にも車両の試験施設を設け、1984年10月から士別試験場の運用を開始した。同地の冬はマイナス20℃を下回ることがあるため、まず寒冷地走行試験用の第2周回路、第3周回路、登坂路が完成し、次いで1987年に時速250kmの走行が可能な1周10kmの高速周回路を開設した。

また、1993年4月には米国のアリゾナ州ウイットマンに、TEMA-TTC(Toyota Motor Engineering & Manufacturing North America, Inc. Toyota Technical Center)のアリゾナ試験場が完成した。1周10マイル(16km)の周回路を備える同試験場では、気温40℃を超える灼熱のなか、時速250kmでの連続走行試験を実施している。

1956年に完成した一周2km、時速100km走行周回路を原点とするトヨタの車両試験場は、自動車の高速化・国際化に対応して、進化していったのである。

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