天津トヨタ自動車の設立と第一汽車集団との提携

天津汽車とのプロジェクトでは、1990年代後半に行った部品産業育成強化の実績を基盤に、ダイハツ工業と天津汽車が技術提携による生産をしていた「夏利」の後継車種計画を進めた。その結果、2000(平成12)年6月に天津汽車との合弁会社として天津トヨタ自動車の設立に漕ぎ着け、2002年10月に念願の乗用車ヴィオスの生産を開始した。

一方、2002年8月、トヨタは1970年代末から技術交流などで接点のあった中国第一汽車集団公司(一汽)との間で、戦略的かつ長期的な共同事業の関係を構築することで基本合意した。一汽は、上海汽車集団および東風汽車集団とともに「3大集団」を形成する中国の有力自動車メーカーである。この合意に基づく「合作協議書」の調印式は、一汽の竺延風総経理と、トヨタの張富士夫社長の出席のもと、同月に北京の人民大会堂で行われた。

一汽はこの合作協議書の調印に先立ち、2002年6月に天津汽車と資本提携し、また8月には四川旅行車製造廠との間で合作協議に合意していた。これら一連の合意により、トヨタおよび天津汽車など従来の合弁パートナーと、一汽が一体的に事業展開していく体制が整えられた。

翌2003年、天津トヨタ自動車は天津一汽トヨタ自動車(TFTM)に生まれ変わった。同社は、西青工場の第1ラインに2004年にカローラを追加投入したのち、天津経済技術開発区(TEDA)工場では第2ラインを新設し、2005年にクラウン、レイツの生産を立ち上げた。さらに、2007年に新型カローラの投入に合わせて、TEDA工場に第3ラインを新設し、2009年からは同ラインでRAV4の生産も開始した。

一方、四川トヨタ自動車は、2003年から新たにプラドの生産を開始し、2005年に四川旅行車の出資分が一汽に譲渡されたことに伴い、社名を四川一汽トヨタ自動車(SFTM)に変更した。また、それまでランドクルーザーを生産していた長春一汽豊越自動車を長春豊越分公司として統合し、その分公司の社名を四川一汽トヨタ自動車長春豊越公司(SFTM長春)に改称した。同社は、2005年12月に海外では初のプリウスの生産拠点となった。その後、成都の四川一汽トヨタは、2010年に成都市龍泉区の成都経済技術開発区に移転し、新工場を開設した。新工場は従来の年産1万3,000台から3万台へと生産能力が引き上げられ、新型プラドの生産にあたった。

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