第9節 量産量販に向けての準備

第6項 生産能力の増強、月産1万台を目指して

鋳造工程

鋳物工場では、1955(昭和30)年にシリンダーブロック鋳造用のモールド・コンベア・ラインを導入した。これにより、砂で鋳型を造る「鋳型造型」、鋳型に溶けた鋳鉄を注ぐ「注湯」、鋳型の枠を解体して砂の鋳型から鋳物製品を取り出す「枠ばらし」などの各作業が連続化され、1本のラインとして管理できるようになった。

続いて、鋳鉄を溶解する7トン・キューポラが、1957年11月に第1特殊鋳物工場へ、同年12月に可鍛鋳物工場へ、1958年7月に普通鋳物工場へ各1基増設された。1958年1月には月産能力600トンのトンネル式連続焼鈍炉が稼働を開始したほか、上述のモールド・コンベア・ラインを延長して、サンド・スリンガー(鋳物砂を叩き込んで鋳型を造る造型機)を増設した。また、鋳物製品に付着した鋳物砂を除去するためのショット・ブラストを導入し、鋳造の後処理工程の能力増強を図った。

新鋳造技術としては、1954年に珪砂をフェノール樹脂と混合焼成して鋳型を造るシェル・モールド法を導入した。1957年には同製法による自社製シェル・マシンを開発し、トランスミッション・ケースの中子の製作に用いた。

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