新「ネッツ店」への再編

1990年代半ば以降、代替需要を中心としたマーケットへと構造変化した国内の販売環境に対応するため、トヨタは、2003(平成15)年2月に販売チャネルの再編を含む抜本的な改革策を打ち出した。販売店や社内で「GNT(がんばろう、ニッポンのトヨタ)計画」と呼ばれた新たな「商品・流通政策」である。

その主な内容は、①レクサスブランドを国内へ導入し、21世紀の新しいグローバルプレミアムブランドを確立する、②ネッツ店とビスタ店を融合して、新「ネッツ店」に再編し、新しい価値観をもつお客様に向けた新チャネルとする、③トヨタ店・トヨペット店・カローラ店のアイデンティティを強化し、商品のラインアップを見直す、の3点であった。張富士夫社長は、同計画を発表した際の記者会見で、「お客様の価値観の変化やマーケットの構造変化に、われわれの構えが合わなくなってきた。これらの施策により、そうした変化に的確に対応したい」とねらいを語っている。

こうしてトヨタブランドは、1980(昭和55)年にビスタ店を開設して以来の5チャネルから、4チャネルへと再編されることになった。その一方で、米国で確固たる地位を築いたレクサスブランドを導入し、従来以上に個性やプレミアム感などを重視するお客様の多様な価値観への対応を図った。また、新ネッツ店は、「21世紀チャネル」をコンセプトに、ヤングファミリーや女性層を中心とするお客様向けのチャネルと位置づけた。デザインや機能などで独自の存在感をもつ商品群を展開し、2004年5月に約1,600店とカローラ店を上回る規模の販売網で再スタートした。

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