ヴィオス、イノーバを生産―フィリピン

フィリピンでは、トヨタ・モーター・フィリピン(TMP)の乗用車専用工場としてサンタロサ工場が建設され、1997(平成9)年1月からカローラの生産を開始した。これにより、TMPの生産能力は既存工場と合わせて年6万台となった。しかし、1998年の生産台数はアジア通貨危機の影響で1万台に減少し、前年の3分の1程度にとどまった。

それでもフィリピンは、タイやインドネシアに比べると通貨危機の影響が比較的軽微であったため、東南アジア諸国連合(ASEAN)のルールに従い、2003年1月には域内の関税引き下げを実施し、さらに世界貿易機関(WTO)の要請に基づき国産化規制も撤廃した。その一方で物品税の改定が行われ、トヨタのタマラオなどの多目的車は増税に、乗用車と小型SUVは減税になったことから、減税対象モデルの域内輸入が増加した。このため、トヨタでもフィリピンでの生産は、ヴィオス、イノーバの2モデルに集中することとし、他のモデルについては、タイからの輸入に切り替えた。

2008年には日本・フィリピン経済連携協定(EPA)が発効し、日本製完成車の輸入関税が減免された。これを受けて、2009年にはトヨタを含むフィリピン国内メーカー5社と、部品工業会メンバー会社により、フィリピン自動車産業力向上協議会(PACCI)が発足した。

また、フィリピンの部品製造会社トヨタ・オートパーツ・フィリピン(TAP)は、IMV(Innovative International Multipurpose Vehicle)用トランスミッションの供給基地として位置づけられた。2006年には18万基のトランスミッションを製造し、そのうち17万基をタイやインドネシアなど10カ国・地域に輸出した。さらに、2008年にはR型トランスミッションの生産を開始し、合わせて生産能力を15万基から33万基へと増強した。

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