SC型・SD型乗用車

SC型乗用車は、SB型トラック・シャシーへの乗用車ボデー架装が盛んに行われたことに対応して開発された。1948(昭和23)年6月に前輪独立懸架を採用したSC型の試作車が完成したが、トラック用のビーム懸架(ビーム・アクスル)を採用したSB型トラック・シャシーへの要望が多かったため、SC型乗用車は試作車3台を製作したのみで、開発は中止となった。

SB型トラック・シャシーを利用し、全鋼製乗用車ボデーを架装したのが、SD型乗用車である。1949年6月に関東電気自動車製造で試作車が完成し、同年11月から同社をはじめとするボデー・メーカーで生産を開始した。

SD型乗用車は営業用の車両にターゲットを置き、保守にあまり手のかからない比較的廉価な車として開発された。シャシーはSB型トラックとほとんど同じであるため、部品の大部分は互換性があり、トラック同様の強度を持つことから耐久性に優れていた。トヨペット乗用車SD型の仕様は、表1-27のとおりである。

表1-27 SD型乗用車の仕様(1950年)

項目
内容
エンジン
S型(995cc、27馬力)
全長
4,233mm
全幅
1,592mm
全高
1,570mm
車両重量
1,225kg
最高速度
77km/h
(出典)
トヨタ技術会『技術の友』1950年3月1日

関東自動車工業では、1949年9月~51年8月にSD型乗用車を105台生産した。それと並行して、同社はSD型シャシーのトレッドを広げ、ボデーを拡大したSDX型の開発を進めた。この改造型車種は、正式にSE型乗用車シャシーとなり、1950年6月から生産が開始された。

また、荒川鈑金工業では、1950年4月からSD型乗用車ボデーを45台製造した。そのほか、少数ながらワイド・フィールド・モータースや日本ボディーでも製造され、関東自動車工業製の改造型(SDX型)を含めて、1951年12月までにSD型乗用車が665台、SE型乗用車が176台生産された。

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