第8節 本格的乗用車トヨペット・クラウンの登場
第1項 S型エンジン搭載の小型車開発
SF型系乗用車、SG型トラック
SD型乗用車にも利用されたSB型小型トラック・シャシーは、乗用車との共用を前提として、さらなる改良が図られた。
1950(昭和25)年春、技術部長の豊田英二取締役は、性能向上と原価低減を目的に、新型トラック・シャシーの設計を指示した。新型シャシーは、約2年の開発期間を経て、1952年3月にSG型トラック・シャシーとして発売された(表1-28)。主な改良点は、次のとおりである。
表1-28 SG型トラックの仕様(1952年)
項目
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内容
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エンジン
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S型(995cc、28馬力)
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全長
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4,195mm
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全幅
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1,594mm
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全高
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1,735mm
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車両重量
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1,170kg
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最大積載量
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1,000kg
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- (出典)
- トヨタ技術会『トヨタ技術』1952年2月1日
- 1.エンジン性能の向上(27馬力から28馬力へ)
- 2.スタイルの近代化(ヘッドランプのフェンダーはめ込み)
- 3.荷台の拡大(13%の面積拡大)
- 4.サービスの容易化
- 5.乗り心地の改善(ホイール・ベースの100mm拡大による荷重配分適正化、重心低下による安定性向上、前輪にショック・アブソーバ装着)
- 6.SB型トラック・シャシー部品との共通化
このSG型トラック・シャシーに乗用車ボデーを架装したのが、SF型系乗用車である。荒川鈑金工業がSF型、関東自動車工業がSFK型、中日本重工業がSFN型の型式名で製造を担当した。SF型乗用車の仕様は、表1-29のとおりで、SG型トラックに先立ち、1951年10月に発売された。
表1-29 SF型乗用車の仕様(1952年)
項目
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内容
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---|---|
エンジン
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S型(995cc、28馬力)
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全長
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4,280mm
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全幅
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1,594mm
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全高
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1,600mm
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車両重量
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1,200kg
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最高速度
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79km/h
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- (出典)
- トヨタ技術会『トヨタ技術』1952年2月1日
両型式のシャシー生産台数は、SF型系乗用車が1951年8月~53年8月に総計3,635台、SG型トラックが1952年2月~53年10月に7,749台となっている。このうちトヨタ車体が行ったSG型トラックのボデー架装台数をみると、「昭和27年は月平均100台強で当社ボデー架装50パーセントの目標には程遠い」状況であった。1SG型トラック・シャシーへのボデー架装の7割強は、関東自動車工業、セントラル自動車、美川自動車(金沢市)をはじめ、多くのメーカーによって行われたと推測されるが、詳しい記録は残されていない。
それは乗用車についても同様であった。SF型系乗用車のボデー架装は、荒川鈑金工業、関東自動車工業、中日本重工業が中心となったとはいうものの、3社のSF型系乗用車のボデー架装実績は、総計約2,600台にとどまり、シャシー生産台数3,635台との間に約1,000台の差異があった。このころはまだ、工場から出荷後のボデー架装される過程は、トヨタ自販の業務領域であり、トヨタ自工がその実態を詳しく把握できる制度になっていなかった。